努力を積み重ねた先に見えた「スキ」とビジネスの結びつき|佐藤和基さんインタビュー

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先人から学ぶをコンセプトに社会で活躍されている方にその仕事に対する想いを聞く、Feed want life。

今回は相続税を専門に扱い、ご自身の得意分野を“税”という切り口から様々なビジネスに展開する税理士の佐藤和基さんにこれまでのキャリアと今後の目標についてお話をお聞きしました。

この記事では
自らの人生理念と向き合い、それを形にする佐藤さんのプロセスをダイジェストでお伝えします。
今回インタビューした人
佐藤和基さん

佐藤和基税理士事務所 代表税理士

平成26年1月に佐藤和基税理士事務所を開業。相続税の専門家として「相続税還付」に力を入れる。「納税者に損をさせない申告」を信念に、平成29年の還付実績は109,761,800円に上る。相続税還付をさらに世の中に広めていくため、平成27年1月に一般社団法人相続財産再鑑定協会を設立。故人の遺産を少しでも多く受け取っていただくため、誠心誠意向き合うことに情熱を注ぐ。

メディア掲載実績:
・日本経済新聞(2017年7月、2019年11月/株式会社日本経済新聞社)
・ダイヤモンド・セレクト(2016年11月/株式会社ダイヤモンド社)
・月刊不動産投資Jounal(2014年12月/一般社団法人投資不動産流通協会)
・週刊朝日(2018年2月他/株式会社朝日新聞出版)
・週刊現代(2017年8月/株式会社講談社)

出版実績:
不動産の知識があれば相続税は取り戻せます!

税理士の失敗事例から学ぶ相続土地評価のポイント

限られた選択肢の中でも”得意”を活かす

編集部
どのような経緯を経て現在の仕事に出会ったのでしょうか?
佐藤和基さん
自分の強みを活かせる職業はないかと模索していた時に税理士という職業に出会いました。

税理士を目指すきっかけになったのは高校2年生の時です。
私は母子家庭で育ったため、高校卒業後は大学には進学せずに就職をする予定でした。

しかし、いざ進路を決めるとなったときに高校の就職指導室で就職について調べてみたところ、興味の惹かれる仕事がなかったんですね。

佐藤和基さん
このまま就職していいのかと真剣に考えました。

高校生が目指せる限られた選択肢の中で、何ができるかと考えていたところ、税理士という職業にたどり着きました。

数学も得意でしたし、商業科の高校に通っていたので簿記の知識を活かして税理士を目指そうと決めたのが今の私の原点ですかね。

そこで専門学校など、私の希望する条件に合致する進路を調べて、奨学金を借りて通学可能なところを絞り、専門学校に入学しました。

チャンスは1年に一度だけプレッシャーと戦う日々

編集部
学生時代を振り返って特に印象に残っていることはなんですか?
佐藤和基さん
とにかく勉強に一生懸命でしたね。

私が通っていた専門学校では朝9時から19時くらいまで授業がありました。

在学中は朝8時から学校で自習をして、授業を受け、授業後には学校が閉まる夜9時くらいまで勉強していましたね。

必死に朝からずっと勉強していたのが思い出ですかね。

編集部
税理士の資格を取得するまではどのような流れでいくのですか?

入学してからは、税理士受験資格を得るために日商簿記1級の取得を目指しました。

佐藤和基さん
ここを突破しないと税理士の受験資格を得られないので必死に勉強しましたね。

入学した年の11月、2回目の試験で日商簿記1級に合格して無事次のステップに進むことができました。

佐藤和基さん
でも本当に大変だったのはこのあとです。

税理士の登録をするためには、税理士試験科目11科目のうち5科目を突破することが条件なのですが、1科目ずつ突破するのが本当に大変でした。

編集部
みなさん5教科を常に勉強するのですか?

税理士の勉強は一度に全ての教科の試験を受けなくてもいいのですが、私が入った専門学校は3科目受ける方針で勉強量が多かったように感じます。

佐藤和基さん
一般の人は1年間で1科目受けるのが通常ですね。

1年目の挑戦では2科目に受かることができて自分にも自信がつきました。

編集部
在学中に税理士資格を取ることが出来たのですか?
佐藤和基さん
5科目取得するのに6年かかりました。

専門学校には2年半在学をして、3年目はその学校でアルバイトをしながら受験を続けていました。

その間に2科目受かり、合計4科目取得してあと1科目というところまで来たのですが、ここからが長かったですね。

在学中に勉強されていた時の資料。スケジュールがびっちりです。

トータル6年間で5科目突破して税理士になれましたが、4回目、5回目の受験は落ちたので凹みましたね。

佐藤和基さん
残り1科目が本当に遠く感じました。
編集部
専門学校卒業後はどのような活動をしていたのですか?
佐藤和基さん
税理士資格まであと1科目残っていたので、相続日本一の強みのある税理士法人で仕事をしながら残り1科目の試験を受けていました。

自らの努力が報われるように”特化”する道を選択

編集部
なぜ専門分野に絞ったのですか?
佐藤和基さん
受験しているときにこんなに毎日勉強していて、本当に稼げるかって疑問を持ったのです。

年々税理士がたくさん増えてきているので、自分が稼いでいくために、税理士として生きていく上で何かに特化していく必要があると感じました。

そこで「相続日本一」という言葉に惹かれて、相続税の分野で勝負すれば自分のこれまでの積み重ねも報われるなと直感的に思ったんです。

編集部
ご自身のマネタイズも税理士になる前から決まっていたのですね。

税理士資格の取得は5科目の突破と、実務経験2年の実績だったので就職して仕事をしながら受験した結果、5科目合格して転職を機に税理士登録をしました。

その後2つ目の税理士法人を3年半経験し、平成26年1月に独立しました。

仕事の魅力は取り替えのきかない自分だから”できること”があること

編集部
相続という分野は一般的な税理士は苦手なのですか?
佐藤和基さん
相続税は一般的な内容とは別でしかも取り扱い件数が少ないので専門でやっている方は少ないですね。

そのこともあって、専門的にやっている私のところに仕事が回ってきたり、同じ税理士から仕事の依頼が来るなど、多岐にわたって仕事の相談が来るので、やり甲斐を感じています。

編集部
やりがいを考えてできる仕事はいいですよね。
今の仕事でどんなことに魅力を感じますか?
佐藤和基さん
相続税の対応は”私だからできる”というところでも魅力がありますね。特に相続税還付は専門の税理士が少ないですし。

相続専門でいたことでよかったことは専門性の高さにやりがいがあって感謝されることに魅力を感じましたね。

ほとんどの方がやらない案件をやるので、変えが効かないところが私の強みとモチベーションが高くなる要因です。

必要とされて仕事をして相続税還付なんかは請求が通ったときに感謝されるのが本当に嬉しいですね。

現在は相続税の申告、相続税を納めた方向けの還付請求がメインで仕事をしています。

それに付随して山林引き取りサービスと民間資格の普及活動もしています。

相続税の申告は多くの人がやるのですが、相続税還付はやっていない方が多いのです。

損をなくしたい。
多くの方にこの制度を知ってほしい。

この想いから相続税還付を広げる仕組みとして、平成27年1月に民間資格を立ち上げました。保険業・不動産業の方と相性の良い民間資格です(相続財産再鑑定士)。

編集部
相続税の申告などの業務は1案件あたりいくら位報酬を得ることができるのですか?
佐藤和基さん
大体単価あたり100〜200万円くらいですね。

相続税申告で100万くらい、相続税還付が200万円くらいが標準ですが、申告や還付金の金額に応じて変化してきますね。

生活を回しながら勉強することの難しさに直面した学生時代

編集部
ここに至るまでにあった、「これきつかったなー」という印象が濃い経験はなんでしょう?
佐藤和基さん
つらかったのは本当に勉強がキツかったですね。

時系列で話をすると、専門学校に入学前に見たパンフレットに夕方5時まで勉強すると書いてありました。

あまり勉強をしていなかったので「まあ、これくらいならなんとかできるかな」って思って入学したんですけど、蓋を開けたら19時までって…

佐藤和基さん
専門学校に通うのにもお金がなかったので、バイトをしながら勉強をしようとしていたのに、これじゃできないぞって笑

しかも日曜日以外は授業をしていたので、平日祝日は朝から晩まで勉強をして、日曜日にバイトをしてという生活がかなり体力的にきつかったですね。

入学して日商簿記1級を受けるまでの2ヶ月間ずっと勉強して、目を酷使しすぎて視力が落ちたのもあり、かなり追い込んでいたんだなって思いますね。

佐藤和基さん
その2ヶ月は勉強する流れを作ることができなく、授業がどんどん進んでいってしまうので、全くついていけなかったですね。
編集部
月250時間くらい勉強していたんですね。
佐藤和基さん
はい。

でも日商簿記1級が受かって税理士コースに進んだ時は自信が湧いてきてよかったんですけど、その先の税理士コースでは暗記に苦労しました。

試験に臨むのに1冊一言一句、丸暗記してからいくのですが、本当にこの暗記が辛かったですね。

この一冊を暗記して挑む…もう暗記のレベルが桁違いです。

暗記してからも時間が経つと忘れてしまうので、それを維持するのが本当に大変でした。

編集部
具体的にはどうやって勉強していたのですか?

まずは一度しっかりと目を通して覚えて、約20ページの量でグループ分けをして今回はこのグループを暗記しよう。みたいな勉強方法でやっていました。

試験では内容を忠実に暗記しているかをみられているので、暗記の時間を1日に5時間くらい取られていましたね。

専門学校の時は移動時間や朝夜の授業以外の時間に暗記をしていましたね。
ひたすらブツブツ唱えていたのを覚えていますね笑。

あとは6回受けている中の2回目と5回目がきつかったですね。

2回目の試験は学生の全ての時間を費やして挑んだのに2科目受けて2科目とも受からなかったんです。

合格発表時は専門学校でアルバイトをしていたので、結果を目の当たりにしたときに放心状態になって仕事が手につかなかったですね。

5回目の試験も社会人になって仕事以外の時間を全て勉強に注いで受けたんですけど、それでもダメで…

勤務前に落ちていることがわかって、その日は普段だったら30分くらいで終わる仕事が1日かかっても終わらなくて…

佐藤和基さん
落ちる度に精神的に負荷がかかるのでつらかったですね。

5回目が落ちたとわかった日からずっと合格レベルを保つようにひたすら勉強を続けて6回目で5科目受かったのですけど、ここまで来るまでに多くの挫折がありましたね。

暗記のブツブツ言い続ける勉強方法が精神的に本当に辛いのでここだけはきつかったのを思い出しますね。

佐藤和基さん
どうやって暗記するんだろうって最初思いましたから…

社会人になってからは遊ぶ時間やお酒を飲む時間も取れずに勉強漬けの毎日だったのでその思いが税理士になって報われたのが大きいですね。

自分の軸がブレないことが大事!未来を切り開くためのマインドとは

編集部
なんのために勉強しているんだろうと崩れそうになったメンタルをどう立て直したんですか?
佐藤和基さん
絶対に税理士になって独立しようという明確な目標があったからだと思います。

人間は目標がないと行動できないと思います。

1社目は、残業時間が長かったです。

それでも心が折れなかったのが、「この環境を脱して成功しよう」という強い思いがあったからだと思いますね。

佐藤和基さん
仕事しながら勉強する逆境が私にとって行動の源だったのだと今振り返ると思います。

通勤も、仕事も、帰ってからも、勉強するのは息抜きもないので、このような状況下でも自分と向き合い続けることができたのは、独立をするという明確な目標がブレなかったからです。

編集部
なぜ独立しようと思ったのですか?
佐藤和基さん
根本的に自分で何かをしたいと思っていました。

高校生の時に立てた持論があります。

平均的な年収は500万円くらいだと思いますが、1億円稼いでいる人もいます。1億円稼いでいる人は生まれた時から1億円稼げる人ではないと思っていて、そこまで行く中で絶対に努力していると考えていたのです。

自分はどっちにいたいかなと思った時に絶対に1億稼いでいる方がいいなって。それを実現するためには会社員ではなく、自営業でなければいけないと考えました。

その中で、自分ができる選択肢の中で出会った職種がたまたま税理士で初めはしっかり稼いで自立したいという気持ちが強かったんですね。

今は1億円にこだわっていないですが、目標を作った方がその目標のために頑張れると思います。

独立した直後は仕事がなくて貯金が減る日々が続きましたけど、12ヶ月目から相続税還付の報酬が入ったので、そこで収入が上がった状態ですね。

種まきの時期が11ヶ月あってそこからずれて入っていた案件の成果も入ったので安定してきた流れですね。

専門家として2冊の本も出版しています。

好きなことと本業を結びつける“複業”で自分らしさを貫きたい

編集部
これからの未来についてはどのようのに描いていますか?
佐藤和基さん
基本は今のスタイルを維持していくと思っています。

相続専門の税理士として活動しつつ、山林・民間資格の普及を付随してやっていきたいと思っています。

本業の他にも副業でやっているのは、AIなどの発達による未来を見たときに、凄いスピードで進化している機械化に仕事をとられるのではないかという危機感から動いています。

佐藤和基さん
付随サービスなどを取り組めたらと思って取り組んでいますね。

私だからこそできることにコミットして、必要とされる状況を続けていければ最高ですね。

副業をする上では全く知らない領域ではなくて自分の経験を活かせるフィールドで活動していくのが一番いいと考えています。

私自身、いきなり飲食店を経営しろと言われても難しいですしね。

山林引き取りサービスは、不要になった山林の土地を不動産会社等へ引き取ってもらい、固定資産税などをカットすることが目的です。
この事業は本格的に1年半経って見積もり件数は110件ほど出ているので、これからもやっていきたいですね。

今は山林引き取りサービスということで、引き取り繋ぐところまでしかやっていないですが、今後は引き取り後のビジネスにも関わっていきたいと考えています。

今は具体的なイメージを構想している段階ですが、これについて考えているのがとても楽しいですね。

今後は本業に付随するものをベースに自分が好きなことに関わりながら収益化していけるように仕事に関わっていきたいと思います。

案件を振るだけではなくてその先のビジネスにも関わっていけるのがベストですね。

この付随サービスに注目したのは、私自身が木とか自然が好きだということもありますね。

佐藤さんの事務所では間伐材を活用した木のデスクを使用しています。

無駄なものが誰かに価値を提供できるのがいいですね。

間伐材を活用した何か家具やその他のビジネスも描いています。

このワクワク感を大事にしてこれからも様々な事業に発展させていきたいと思います。

編集後記

佐藤さんとのお話からは、逆境と向き合い、資格取得までの努力が報われた瞬間、一気に可能性が広がったように感じました。

複数の事業=複業ということで、ご自身の担当している相続税と相続民間資格の相続財産再鑑定士については税理士としての本業と「納税者に損をさせない申告」というご自身の信念からきた意志から生み出された新たな事業でした。

この「相続財産再鑑定士」資格の名前を考えるのは一から様々な意見を出し合って作り上げたもので、その過程が楽しかったそうです。

自分の得意をワクワクする事業に変換する。

これがまさに自分で仕事をすることの醍醐味なのではないでしょうか。

佐藤さんのますますのご活躍を応援しています。

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