
面接で志望動機を聞かれる場面は多く、企業側の意図を理解した上で適切に回答することが求められます。
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1.志望動機が面接で問われる理由とは?

面接において「志望動機を教えてください」と聞かれるのは、どの企業でも共通して見られる質問です。

1−1.志望度の高さや熱意の確認
まず第一に、企業が志望動機を聞くのは、応募者がどれだけその企業に入りたいと思っているか、つまり「志望度の高さ」や「仕事への熱意」を見極めるためです。求人に対して「なんとなく応募した」「条件が良かったから」という理由だけでは、内定後のミスマッチや早期離職につながる可能性があります。
そのため、企業は応募者の言葉から「本当にうちの会社で働きたいと思っているのか?」を見ようとしています。たとえば、「貴社の理念に共感しました」や「○○の取り組みに感銘を受け、自分もその一員になりたいと思いました」といった内容が含まれていると、面接官は応募者の意欲を感じ取ることができます。

1−2.会社との相性や長期的な勤務可能性の判断
もう一つの重要な理由は、「会社との相性」や「長期的に働ける人材かどうか」を見極めるためです。どれだけ優秀なスキルを持っていても、企業の価値観や業務スタイルに合っていなければ、働く上でミスマッチが生じやすくなります。
志望動機の中に、自分の価値観や働き方に対する考え方が含まれていると、企業側は「この人は当社のカルチャーに合いそうだ」と判断しやすくなります。また、自社の業務内容や事業方針をしっかり理解している応募者は、入社後も安定して長く働いてくれるという期待が持てます。
さらに、志望動機には将来のキャリアビジョンが垣間見えることもあります。

このように、志望動機は単なる「なぜこの会社を選んだか」を説明するものではなく、応募者の人間性や将来性を見極めるための重要な材料なのです。採用担当者に「この人と一緒に働きたい」「チームに加えたい」と思わせるためにも、志望動機にはしっかりとした準備が求められます。
2.志望動機を面接で好印象を与えるポイント

面接で志望動機を伝える際は、ただ理由を述べるだけでは不十分です。面接官に強く印象づけるためには、「何を、どのように伝えるか」が非常に重要です。この章では、志望動機で好印象を与えるための3つの具体的なポイントについて解説します。
2−1.具体的なエピソードを盛り込む
面接で説得力のある志望動機を伝えるには、自分の体験や実績と結びつけて話すことが効果的です。たとえば、前職での経験や過去の取り組みの中で、応募先企業のサービスやビジョンに共感したエピソードを紹介すると、面接官に「この人は本気でうちの会社を選んでいる」と伝わります。
たとえば、「学生時代に御社の◯◯プロジェクトを知り、社会課題に対する姿勢に感銘を受けました。その思いが現在も続いており、自分の経験を活かして貢献したいと考えています」といった形です。エピソードが加わることで、志望動機にリアリティと熱意が加わります。
2−2.どの企業にも当てはまる内容を避ける
よくあるミスが、抽象的で汎用的な志望動機を話してしまうことです。

好印象を与えるには、応募先企業「ならでは」のポイントに触れる必要があります。企業のビジョン、取り組み、社風、業界内でのポジションなど、具体的にリサーチした内容を盛り込むことで、他社ではなく「この会社」に応募した理由が明確になります。

2−3.志望動機と志望理由の違いを理解する
面接準備で混同しがちなのが、「志望動機」と「志望理由」です。似ているようで異なるこの2つを正しく使い分けることで、より論理的で納得感のある話し方が可能になります。
「志望理由」は、その業界や職種を選んだ背景や価値観を伝えるものです。一方で「志望動機」は、特定の企業を選んだ明確な理由を指します。たとえば、「人と接する仕事にやりがいを感じ、接客業を志望した」というのが志望理由で、「その中でも、御社の『お客様第一』の理念に強く惹かれた」というのが志望動機です。

3.面接で志望動機を面接官に効果的に伝える答え方ステップ

面接で志望動機を効果的に伝えるためには、感覚的に話すのではなく、しっかりとした準備と構成をもって答えることが大切です。

3−1.キャリアについて応募の軸を明確化する
まず最初に行うべきは、自分が仕事選びにおいて重視しているポイント、いわば「応募の軸」を整理することです。

この軸が定まっていないと、志望動機に一貫性がなくなり、面接官にも伝わりづらくなります。逆に、しっかりと軸があると、「なぜこの企業を選んだのか」「自分はここで何を実現したいのか」が明確になり、説得力のある答えにつながります。
3−2.企業の強みや特徴を整理する
次に行うべきは、応募先企業のリサーチです。企業理念、事業内容、今後のビジョン、社風など、公式サイトやニュース、社員のインタビュー記事などを参考にして、他社にはないその企業ならではの魅力を把握します。

たとえば、「御社の『若手が挑戦できる文化』は、自らの成長を大切にする私の価値観と一致しており、長期的に働くイメージが持てました」といった具合です。
3−3.応募先企業への熱意と理由を言語化する
最後に、それらの情報をもとにして、自分の言葉で志望動機をまとめていきます。このとき大切なのは、「感情+理由+将来のビジョン」を組み合わせて構成することです。

このように、志望動機は単なる「入社したいです」という願望を語る場ではなく、「自分の経験・価値観・将来像と企業との接点」をアピールする絶好の機会です。構造的に答えることで、面接官に「納得感」と「信頼感」を与えることができます。
4.面接で注意すべき志望動機の伝え方

志望動機は、自分の魅力をアピールできる一方で、伝え方を誤ると逆効果になってしまうこともあります。面接の中で

4−1.会社説明にならないようにする
ありがちな失敗例が、志望動機が単なる「企業情報の紹介」になってしまうケースです。

重要なのは、「その情報に対して自分がどう感じたのか」「なぜ惹かれたのか」という“主観”を加えることです。たとえば、「グローバル展開の中でも、特にアジア市場への進出に力を入れている点に魅力を感じ、自身の語学力を活かして貢献したいと考えました」といった形で、自分との接点を明確にしましょう。
4−2.長々と話しすぎない
面接での志望動機は、相手の集中力を考慮した上で、簡潔に伝えることが求められます。熱意があるあまり、背景や思いを細かく語りすぎると、要点がぼやけてしまい、本当に伝えたい内容が埋もれてしまいます。
理想的な長さは1~2分程度。

4−3.自分だけのオリジナルな内容を作成する
他の応募者と似たような志望動機では、面接官の記憶に残ることは難しいです。特に「安定しているから」「福利厚生が充実しているから」といった理由は、多くの人が挙げるものですし、会社の本質的な魅力には結びついていません。
志望動機には、自分の経験・価値観・将来像と企業との「接点」を描くことが求められます。たとえば、学生時代の研究テーマや、前職でのエピソード、ボランティア活動など、他人と被りにくい要素を活用しましょう。そうすることで、あなたにしか語れない「志望動機」が完成し、面接官に強い印象を残すことができます。
5.【志望動機の伝え方事例】面接成功例と失敗例

志望動機の答え方には明確な“成功パターン”と“失敗パターン”があります。どちらも面接官にどう受け取られるかという視点が重要です。

5−1.成功例:具体性と熱意が伝わる回答
成功する志望動機には、応募者の熱意と企業への理解がしっかりと込められています。以下は、良い例です。

この回答は、自分の過去の経験と企業の事業内容をしっかりとリンクさせており、なぜその会社で働きたいのかが明確に伝わります。また、「共感」「貢献」といったキーワードを使うことで、熱意もしっかり表現されています。
5−2.失敗例:抽象的でどこでも通じる内容
一方で、よくある失敗例は以下のようなものです。

このような回答では、「他の企業にも同じことを言っているのでは?」と面接官に思われてしまいがちです。
5−3.成功と失敗の分かれ目は“具体性”と“自分らしさ”
志望動機で成功するためには、「自分の経験や価値観」と「企業の特徴や方向性」をいかに具体的に結びつけられるかがカギです。面接官に

どんなに立派な経歴やスキルを持っていても、志望動機が曖昧であれば、企業は本気度を疑います。逆に、経験が多少浅くても、志望動機にリアルな熱意と自分らしさがある応募者は、評価される可能性が高くなります。
6.まとめ:志望動機は“自分らしさ”と“企業理解”がカギ
面接における志望動機は、単なる自己アピールではなく、応募者の価値観やキャリア観、企業との相性を測る重要な質問です。

面接に臨む際は、自分の応募の軸を明確にし、企業の特徴やビジョンと照らし合わせた上で、自分だけのオリジナルな志望動機を組み立ててください。具体性と自分らしさのある志望動機こそが、面接官の心を動かし、選考突破への大きな一歩となるはずです。
志望動機は、準備すればするほど深みが増し、あなたの魅力を最大限に引き出せる武器になります。
